歯医者で息苦しくなるとき、その場でできること

歯医者が怖い、という感覚は珍しいものではありません。あお向けの椅子に座って、口を開けたまま、器具の音がすぐそばで鳴っている。「ちょっと待ってください」と言葉で伝えにくく、抜けるタイミングも自分では選べない。

歯科の診療チェアは、途中で抜けにくい場面の中でも条件が重なりやすい場所です。声を出しづらい、あお向けで呼吸が浅く感じられやすい、自分から動きにくい——この 3 つが同時に来ます。

診療中にできること

鼻から、吐く息を長くする

口は使えなくても、鼻からの呼吸は普段どおりできます。

吸う量を増やそうとするより、吐く時間を長くするほうが、体は落ち着く方向に向かいます。数字は目安です。目を閉じていても、口を開けたままでもできます。

聞こえる音や、触れている感覚を数える

目で見るのが難しいときは、 5-4-3-2-1 グラウンディングを、聞こえるものや触れているものに絞って使えます(5-4-3-2-1 のやり方はこちら)。

器具の音。換気の音。頭を支えているヘッドレスト。ひじ掛けを握る手のひら。膝の上に置いた自分の手。

意識が「早く終わってほしい」から、いま触れているものへ移ります。

事前にできる準備

その場の対処より、準備のほうが助けになることがあります。

待合室でできること

呼ばれるまでの時間そのものが、負担になることがあります。

しばらく歯医者に行けていない人へ

歯医者に、しばらく行けていない人も少なくありません。

まず、予約の連絡だけを入れてみる。実際に診療を受けるかどうかは、その後に決めても構いません。電話が難しければ、ネット予約や問診票の備考欄に、一言添える方法もあります。

合図や伝え方をひとつ決めてあるだけで、連絡すること自体のハードルが少し下がることがあります。

うまくいかない日のこと

合図を決めていても、当日にうまく挙げられなかった日があります。準備をしたのに、椅子に座った時点で苦しくなって、結局最後まで動けなかった。

そういう日は普通にあります。

合図を使えなかったことを、失敗として数える必要はありません。一度伝えておけば、次の回に伝え直す負担は減ります。うまくいかなかった回があっても、準備ごと消えてなくなるわけではありません。

よくある質問

苦しくなったことを、どう伝えればいいですか。
事前に合図をひとつ決めて、受付や担当の方に一言添えておくと、口を開けたままでも動きだけで伝わります。言葉を探す必要はありません。
目を閉じていても、グラウンディングはできますか。
できます。見えるものの代わりに、聞こえる音や、椅子・ひじ掛けに触れている感覚を数える形に置き換えられます。
毎回苦しくなるわけではないのに、準備する意味はありますか。
あります。合図や伝え方を決めておくこと自体が『伝えてある』という支えになり、それだけで少し楽になることがあります。

道具として

この記事の手順は、アプリがなくてもそのまま使えます。なぎもりは、このうち呼吸の合図と 5-4-3-2-1 を、必要な瞬間にすぐ取り出せる形にした道具です。

なぎもりは、電車や会議など途中で抜けにくい場面で不安が強くなったときに、音声や振動の合図で呼吸を整えるための日本語のセルフケアアプリです。呼吸ガイド(画面・振動)と 5-4-3-2-1 グラウンディングは無料で使えます。声の誘導は有料プラン「なぎもりプラス」の機能です。

診療チェアでは声を出しにくいので、振動だけのモードにしておくと、口を開けたままでも呼吸のペースが分かります。目を閉じたままでも使えるので、椅子の上で画面を見る必要はありません。

Android 版はGoogle Playで、iOS 版はApp Storeで公開しています。


本記事となぎもりは、医療行為・診断・治療を目的とするものではありません。症状が続くとき、つらさが強いとき、心配なときは、医療機関にご相談ください。緊急時は 119 番、またはアプリ内の相談窓口をご利用ください。