5-4-3-2-1 グラウンディングのやり方
5-4-3-2-1 グラウンディングは、いま自分の周りにあるものを、感覚ごとに数えていくやり方です。
不安が強いとき、意識は「この先どうなるか」に向かいがちです。5-4-3-2-1 は、その意識をいま目の前にあるものへ戻すために使います。
特別な道具は要りません。目を開けていればできます。
手順
上から順に、心の中で数えていきます。声に出す必要はありません。
5 つ — 見えるもの
いま視界に入っているものを、 5 つ探して言葉にします。
つり革。窓の外の看板。床のライン。自分の靴。鞄の持ち手。
「きれいなもの」を探す必要はありません。目に入った順で構いません。
4 つ — 聞こえる音
耳に届いている音を 4 つ。
電車の走行音。アナウンス。誰かの咳。自分の呼吸。
3 つ — 触れている感覚
体が何かに触れているところを 3 つ。
足の裏と床。背中と椅子。手のひらと鞄。
2 つ — においや、口の中の感覚
分かりにくければ「感じないこと」を確認するだけでも構いません。
コーヒーのにおい。何もにおわない。
1 つ — いま自分が言えること
ひとつだけ、言葉にします。
「いま、電車に乗っている」
「次の駅まで 3 分」
事実をそのまま言うだけで足ります。
場面ごとの使い方
| 場面 | 調整のしかた |
|---|---|
| 電車の中 | 視線を動かすだけで完結します。数えるのは心の中だけ |
| 会議中 | 「見えるもの 3 つ」だけに短縮。手元の資料や時計で足ります |
| 美容院・歯科 | 目を閉じたまま、「触れている感覚」から始めると使いやすいことがあります |
| 夜、家で | 明かりを落としていると見えるものが少ないので、音と触覚を中心に |
うまく数えられないときの調整
きっちり 5-4-3-2-1 でなくて構いません。数えることが目的ではなく、意識が向く先を変えるのが目的だからです。
- 5 つ思いつかない → 3 つに減らす。 3-2-1 でも成立します
- 順番が分からなくなる → 見えるものだけを繰り返す。それでも役に立ちます
- 音がうるさくて数えられない → 触れている感覚だけに絞る
- 途中でどこまで数えたか忘れる → 最初から数え直して構いません。何回やっても問題ありません
指を折りながら数えると、順番を見失いにくくなります。人目が気になるときは、ポケットの中や机の下で。
呼吸法との使い分け
どちらが先という決まりはありません。目安として、
- 呼吸に集中できそうなとき → 吐く息を長くするほうから
- 呼吸を意識すると、かえって苦しく感じるとき → 5-4-3-2-1 から
呼吸に意識を向けること自体がつらいときがあります。そういうときは、外にあるものを数えるほうが取りかかりやすいことがあります。
両方を続けて使っても構いません。5-4-3-2-1 で意識が落ち着いてから、呼吸を整える、という順番もよく使われます。
うまくいかない日のこと
数え終わっても、あまり変わらない日があります。
前は途中で楽になったのに、今日は 5 つ数えても何も変わらなかった。数えているうちに、かえって焦ってきた。
そういう日はあります。
そのときは、無理に最後まで数えきらなくて構いません。途中でやめて、その場を離れる、誰かに連絡する、座れる場所を探す。別の手に切り替えるのも、ちゃんとした対処です。
5-4-3-2-1 は、いつでも頼れる道具ではなく、持っている道具のうちのひとつという位置づけで持っておくと、うまくいかなかった日に落ち込みにくくなります。
よくある質問
- 声に出さないとだめですか。
- 心の中で言うだけで構いません。電車や職場では、視線を動かして心の中で数えるだけで十分に使えます。
- 5 つ思いつかないときはどうしますか。
- 数を減らして構いません。 3-2-1 でも、見えるもの 3 つだけでも成立します。数えきることより、意識が目の前の物に向くことのほうが目的です。
- 呼吸法とどちらを先にやるといいですか。
- 決まりはありません。呼吸に集中するのが難しいと感じるときは、グラウンディングのほうが取りかかりやすいことがあります。
道具として
なぎもりは、電車や会議など途中で抜けにくい場面で不安が強くなったときに、音を出さずに呼吸を整えるための日本語のセルフケアアプリです。呼吸ガイドと 5-4-3-2-1 グラウンディングは無料で使えます(任意の有料プランもあります)。
アプリでは、 5-4-3-2-1 のステップを 1 画面ずつ表示します。いくつまで数えたかを覚えておかなくていいようにしてあります。
iOS 版は準備中です。
本記事となぎもりは、医療行為・診断・治療を目的とするものではありません。症状が続くとき、つらさが強いとき、心配なときは、医療機関にご相談ください。緊急時は 119 番、またはアプリ内の相談窓口をご利用ください。