電車で息が浅くなるとき、その場でできること

ドアが閉まって、次の駅まであと数分。急に息が浅くなって、この車両から出られないことばかり考えてしまう。

電車は、日本で暮らしていると避けにくい場所です。そして「途中で降りられない時間がある」という点で、不安が強くなりやすい条件がそろっています。

ここでは、乗っている最中にその場でできることと、乗る前にしておける準備を分けて書きます。

乗っている最中にできる 3 つのこと

1. 吐く息を、長くする

いちばん取り出しやすい道具です。

数字は目安なので、きっちり合わせなくて大丈夫です。大きく吸おうとするより、吐く時間を長くするほうが、体は落ち着く方向に向かいます。

車内で目立たないようにしたいときは、口を閉じたまま鼻から吐いても構いません。数を数えるのは、心の中だけで足ります。

2. 目に見えるものを、 5 つ数える

呼吸に集中するのが難しいときは、こちらのほうが取りかかりやすいことがあります。

見えるものを 5 つ、心の中で言葉にしていきます。

つり革。窓の外の看板。床のライン。向かいの人の靴。自分の鞄の持ち手。

意識が「この先どうなるか」から、いま目の前にあるものへ移ります。5 つ言えたら、次は聞こえる音を 4 つ、というふうに続けていくやり方もあります(5-4-3-2-1 のやり方はこちら)。

3. 「次の駅で降りられる」と確認する

実際に降りなくても構いません。降りるという選択肢が自分にあると確認するだけで、閉じ込められている感じが少し薄まります。

乗る前にできる準備

その場の対処より、実は準備のほうが役に立つことがあります。

準備内容
各駅停車を選ぶ次に降りられるまでが短い。急行より 10 分遅く着くだけなら、その 10 分を買う価値はあります
時間に余裕を持つ「遅れたら降りればいい」と思える余白があるだけで、焦る理由が 1 つ減ります
乗る位置を決めておくドア横、車両の端など、自分が落ち着きやすい位置を先に決めておく
手に持つものを決める飲み物、イヤホン、お守り代わりの小物など。手の中に何かあると意識が向けやすくなります
呼吸を先に整えておくホームで待っている間に、吐く息を長くしておく

各駅停車と時間の余裕は、セットで負担が軽くなる

「各駅停車しか乗れない」と言うと、制限のように聞こえます。でも見方を変えると、自分が乗りやすい条件を知っているということでもあります。

急行に乗れるようになることを目標にしなくても、各駅停車で通えているなら、それは十分に機能している状態です。

うまくいかない日のこと

呼吸を整えても、数を数えても、うまくいかない日があります。

準備をしっかりしたのに、その日はホームに立った時点でだめだった。先週は乗れたのに、今日は 1 駅で降りてしまった。

そういう日は普通にあります。

大事なのは、降りたことを「失敗」として数えないことです。降りて落ち着いてからもう一度乗るのは、うまく対処できたということでもあります。今日は 1 駅乗れた、と数えるほうが、次の日に持ち越しやすくなります。

体調、睡眠、気温、車内の混み具合。自分の努力とは関係のない条件で、その日の乗りやすさは変わります。

よくある質問

各駅停車のほうが乗りやすいのはなぜですか。
次に降りられるまでの時間が短く、「降りようと思えば降りられる」状態が保てるためです。実際に降りるかどうかより、その選択肢があること自体が負担を軽くすることがあります。
途中で降りてしまうのは、よくないことですか。
いいえ。降りて落ち着いてから次に乗るのは、有効なやり方の 1 つです。降りたこと自体を失敗と考えず、「今日はここまで乗れた」と数えるほうが続けやすくなります。
立っているのと座っているのでは、どちらがいいですか。
人によって違います。ドア横に立つと出口が見えて落ち着く人もいれば、座って足の裏の感覚に集中するほうが楽な人もいます。両方試して合うほうを選んでください。

道具として

なぎもりは、電車や会議など途中で抜けにくい場面で不安が強くなったときに、音を出さずに呼吸を整えるための日本語のセルフケアアプリです。呼吸ガイドと 5-4-3-2-1 グラウンディングは無料で使えます(任意の有料プランもあります)。

車内で使うことを考えて、画面を見なくても、振動のリズムだけで呼吸のペースが分かるようにしてあります。音は鳴りません。隣の人に画面を見られても、ひと目で用途が分かる表示を出さないようにしています。

iOS 版は準備中です。


本記事となぎもりは、医療行為・診断・治療を目的とするものではありません。症状が続くとき、つらさが強いとき、心配なときは、医療機関にご相談ください。緊急時は 119 番、またはアプリ内の相談窓口をご利用ください。