家族に不安の波が来ているとき、そばでできること

大切な人が急に落ち着かなくなって、息が浅くなって、その場から動けなくなる。どうしてあげたらいいのか分からないまま、時間だけが過ぎていく。

そういう場面に立ち会ったことがある方に向けて、そばにいる人ができることを整理しました。

正解が 1 つに決まっているわけではありません。人によって、してほしいことはかなり違います。ここに書いてあることも、「試してみて、合わなければやめていい」という前提で読んでください。

その場で起きていること

波が来ているとき、本人の側では、だいたい次のようなことが同時に起きています。

大事なのは、このとき本人は「考えて」対応しているわけではないということです。説明を求めても答えられませんし、「落ち着いて」と言われても、落ち着き方を選べる状態ではないことが多いです。

だから、そばにいる人がすることは「説得」ではなく、波が引くまでの時間を、安全に過ごせるようにすることになります。

そばでできる 3 つのこと

1. まず、時間の保証をする

いちばん届きやすいのは、急かされていないと伝えることです。

「時間は大丈夫だから」

「間に合わなかったら、次のに乗ればいいよ」

「ここにいていいよ」

予定に遅れることへの焦りが、波をさらに大きくすることがあります。「遅れても構わない」と先に言ってしまうと、本人が焦る理由が 1 つ減ります。

2. 距離を、本人に決めてもらう

そばにいてほしい人と、触られたくない人がいます。同じ人でも日によって違います。

短く聞いてみてください。

「そばにいる? ちょっと離れる?」

答えられないときは、視界に入る距離で、黙って座って待つのが無難です。のぞき込んだり、顔を近づけたりはしないほうが落ち着きやすいことがあります。

3. 環境を、少しだけ静かにする

できる範囲で構いません。

本人が周囲の目を気にしなくていい状態を作れると、それだけで負担が減ります。

うまくいかない日のこと

ここまで書いておいて何ですが、全部やっても、うまくいかない日があります。

声をかけたら余計につらそうになった。そばにいようとしたら「ひとりにして」と言われた。前は落ち着いたやり方が、今日は全然だめだった。

そういうとき、そばにいた人のほうが落ち込んでしまうことがあります。でも、それは対応が間違っていたからとは限りません。波の大きさはその日によって違いますし、同じ人でも「今日はこれが嫌」ということが普通にあります。

うまくいかなかった日があっても、そばにいたこと自体は無駄になりません。落ち着いてから「さっきはどうしてほしかった?」と聞けると、次の日のヒントになります。聞くのは、落ち着いてからで十分です。

そして、支える側も消耗します。毎回完璧に対応しようとしなくて大丈夫です。

落ち着いてから、話しておくといいこと

波が来ていないときに、いくつか決めておくと、次がずっと楽になります。

決めておくこと
合図言葉が出ないときに使うサイン(手を挙げる、メモを見せる など)
してほしいこと「そばにいて」「飲み物」「人払い」など、上位 2 つだけ
してほしくないこと「背中をさする」「深呼吸してと言う」など
連絡先かかりつけの医療機関、相談窓口の番号

全部を決める必要はありません。上から 2 つだけでも、次の場面はだいぶ違います。

よくある質問

そばにいたほうがいいですか、離れたほうがいいですか。
本人に「そばにいてほしい? 少し離れていてほしい?」と短く聞くのがいちばん確実です。答えられないときは、視界に入る距離で静かに待つ形が負担になりにくいと言われています。
何を言えばいいか分かりません。
無理に励まさなくて大丈夫です。「ここにいるよ」「時間は大丈夫だから」など、状況を保証する短い言葉のほうが届きやすいことがあります。
救急車を呼んだほうがいいのはどんなときですか。
意識がはっきりしない、けいれんがある、頭を打っている、胸の痛みが続くなど、いつもと明らかに違う様子があるときは迷わず 119 番へ。判断に迷うときは #7119 に相談できます。

道具として

なぎもりは、電車や会議など途中で抜けにくい場面で不安が強くなったときに、音を出さずに呼吸を整えるための日本語のセルフケアアプリです。呼吸ガイドと 5-4-3-2-1 グラウンディングは無料で使えます(任意の有料プランもあります)。

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本記事となぎもりは、医療行為・診断・治療を目的とするものではありません。症状が続くとき、つらさが強いとき、心配なときは、医療機関にご相談ください。緊急時は 119 番、またはアプリ内の相談窓口をご利用ください。