家族に不安の波が来ているとき、そばでできること
大切な人が急に落ち着かなくなって、息が浅くなって、その場から動けなくなる。どうしてあげたらいいのか分からないまま、時間だけが過ぎていく。
正解は 1 つに決まっていません。人によって、してほしいことはかなり違います。ここに書くことも「合わなければやめていい」という前提で読んでください。
説得ではなく、時間を渡す
波が来ているあいだ、本人は考えて対応しているわけではありません。理由を聞かれても答えられず、「落ち着いて」と言われても落ち着き方を選べないことがあります。
そばにいる人がすることは説得ではなく、波が引くまでの時間を、安全に過ごせるようにすることになります。
1. 時間の保証をする
「時間は大丈夫だから」
「間に合わなかったら、次のに乗ればいいよ」
予定に遅れる焦りが、波を大きくすることがあります。先に「遅れても構わない」と言ってしまうと、焦る理由が 1 つ減ります。
2. 距離を、本人に決めてもらう
そばにいてほしい人と、触られたくない人がいます。同じ人でも日によって違います。
「そばにいる? ちょっと離れる?」
答えられないときは、視界に入る距離で、黙って座って待つ。のぞき込んだり顔を近づけたりはしないほうが落ち着きやすいことがあります。
3. 周囲の視線を引き受ける
「大丈夫ですか」と人が集まってくると、見られていること自体が負担になります。できる範囲で、そこはこちらで対応します。
落ち着いてから、決めておけること
いちばん役に立つのは、波が来ていないときの準備です。本人といっしょに、 2 つだけ決めておきます。
- 言葉が出ないときの合図(手を挙げる、スマホのメモを見せる)
- してほしいこと / してほしくないこと を 1 つずつ
なぎもりでは、ここを機能にしました。落ち着いているときの自分から、不安なときの自分へ言葉を残しておく「お守りメモ」。そして、あらかじめ用意した文を、登録した相手にそのまま送れるようにしてあります。
いま不安の波が来ています。少ししたら落ち着きます。そっとしておいてもらえると助かります。
口で説明するのが難しい場面でも、これなら送れます。アプリの中には、家族や身近な人向けのページも入れてあります。
うまくいかない日のこと
全部やっても、うまくいかない日があります。
声をかけたら余計につらそうになった。そばにいようとしたら「ひとりにして」と言われた。前は落ち着いたやり方が、今日は全然だめだった。
そういうとき、そばにいた人のほうが落ち込んでしまうことがあります。でも、対応が間違っていたからとは限りません。波の大きさは、その日によって違います。
うまくいかなかった日があっても、そばにいたこと自体は無駄になりません。落ち着いてから「さっきはどうしてほしかった?」と聞けると、次のヒントになります。
支える側も消耗します。毎回完璧に対応しなくて大丈夫です。
よくある質問
- そばにいたほうがいいですか、離れたほうがいいですか。
- 本人に「そばにいてほしい? 少し離れていてほしい?」と短く聞くのがいちばん確実です。答えられないときは、視界に入る距離で静かに待つ形が負担になりにくいことがあります。
- 何を言えばいいか分かりません。
- 無理に励まさなくて大丈夫です。「ここにいるよ」「時間は大丈夫だから」など、状況を保証する短い言葉のほうが届きやすいことがあります。
- 救急車を呼んだほうがいいのはどんなときですか。
- 意識がはっきりしない、けいれんがある、頭を打っている、胸の痛みが続くなど、いつもと明らかに違う様子があるときは迷わず 119 番へ。判断に迷うときは #7119 に相談できます。
道具として
この記事の手順は、アプリがなくてもそのまま使えます。なぎもりは、このうち呼吸の合図と 5-4-3-2-1 を、必要な瞬間にすぐ取り出せる形にした道具です。
なぎもりは、電車や会議など途中で抜けにくい場面で不安が強くなったときに、音声や振動の合図で呼吸を整えるための日本語のセルフケアアプリです。呼吸ガイド(画面・振動)と 5-4-3-2-1 グラウンディングは無料で使えます。声の誘導は有料プラン「なぎもりプラス」の機能です。
かけない方がいい言葉については、こちらの記事 にまとめました。
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本記事となぎもりは、医療行為・診断・治療を目的とするものではありません。症状が続くとき、つらさが強いとき、心配なときは、医療機関にご相談ください。緊急時は 119 番、またはアプリ内の相談窓口をご利用ください。