外出が不安なときの「お守り」を持つという考え方

出かける予定が決まった日から、少し気が重い。当日になると、駅に着く前から落ち着かない。

そういうとき、「不安をなくしてから出かける」のは、たいてい難しいものです。不安があるまま出かけられるようにするほうが、現実的なことがあります。

そのための考え方として、お守りを持つという方法があります。

お守りとは何か

ここで言うお守りは、「困ったときにこれがある」と分かっている状態のことです。

物でも、方法でも、逃げ道でも構いません。共通しているのは、実際に使わなくても支えになるという点です。

使わなくていい、というのが要点

多くの場合、お守りは使われないまま持ち帰られます。それでいいのです。

不安が重くなりやすいのは、「もし途中でつらくなったら、どうしようもない」と思っているときです。

どうしようもなくはないと分かっていれば、同じ場面でも、少し違って感じられることがあります。

お守りになるもの

物のお守り

なぜ機能するか
ペットボトルの飲み物手に持てる。ひと口飲む動作が、意識を切り替えるきっかけになる
のど飴・ガム口の中の感覚に意識を向けやすい
イヤホン音を減らせる。使っていても不自然でない
上着・ストール体温調節。人の視線をやわらげる
手に握れる小物指先の感覚に意識を向けられる

人前で取り出しても不自然でないものが使いやすいです。特別なものである必要はありません。

方法のお守り

道具がなくてもできるので、いちばん確実に持ち歩けるお守りです。

逃げ道のお守り

使わなくていい逃げ道があるだけで、出かけやすくなることがあります。

「落ち着いている自分」から手紙を書いておく

これは、少し変わった形のお守りです。

落ち着いているときに、不安なときの自分あてに短い言葉を書いておくという方法があります。

「この感じは前にもあった」

「あと 10 分すれば、たぶん違う」

「今日は帰ってもいい」

不安が強いとき、自分でこういう言葉を思いつくのは難しいものです。落ち着いているときの自分のほうが、うまく書けます。

長い必要はありません。1 行で十分です。スマホのメモでも、財布に入れた紙でも構いません。

お守りを 2 つか 3 つに絞る

全部持とうとすると、荷物が増えて出かけるのが億劫になります。それでは本末転倒です。

これくらいが、実際に機能する量です。

うまくいかない日のこと

お守りを持っていても、うまくいかない日はあります。

用意したものを鞄に入れていたのに、そもそも取り出す余裕がなかった。メモを書いておいたのに、読んでも何も感じなかった。準備を全部やったのに、家を出られなかった。

それでもお守りが無駄だったわけではありません。

お守りは、成功率を 100% にするための道具ではなく、出かけるかどうかを迷ったときに、少しだけ背中を押すものです。

出かけられなかった日があっても、準備をしたこと自体は次の日にも残ります。

そして、お守りは入れ替えていいものです。しっくりこなかったものは外して、役に立ったものだけ残していけば、そのうち自分に合う組み合わせが決まってきます。

よくある質問

お守りは、実際に使わないと意味がないですか。
いいえ。使わずに済んだ日のほうが多くて構いません。「困ったらこれがある」と分かっている状態そのものが、外出のハードルを下げます。
どんなものを選べばいいですか。
手に持てて、人前で取り出しても不自然でないものが使いやすいです。飲み物、のど飴、イヤホンなど、日常的な持ち物のほうが向いています。
持ち物を増やしすぎると、かえって荷物が重くなりませんか。
そのとおりです。 2 つか 3 つに絞るほうが実用的です。全部持つより、確実に使うものだけを決めておくほうが機能します。

道具として

なぎもりは、電車や会議など途中で抜けにくい場面で不安が強くなったときに、音を出さずに呼吸を整えるための日本語のセルフケアアプリです。呼吸ガイドと 5-4-3-2-1 グラウンディングは無料で使えます(任意の有料プランもあります)。

「落ち着いている自分から、不安なときの自分へ」書いておくメモの機能も入れてあります。なぎもりは、治すためのアプリではなく、持って出かけるためのアプリとして作りました。

iOS 版は準備中です。


本記事となぎもりは、医療行為・診断・治療を目的とするものではありません。症状が続くとき、つらさが強いとき、心配なときは、医療機関にご相談ください。緊急時は 119 番、またはアプリ内の相談窓口をご利用ください。